ウサギの餌の消化 Marinell Harriman in consultation with Carolynn Harvey, DVM ウサギは食物の消化に関しては複雑な循環する機構を持ち、すべての餌を同じように 消化できるわけではありません。例えば、離乳後のウサギの小腸では果糖の消化力が 増大しますが、他の糖類の消化力は低下します(Buddington 1990)。そのため果物に 含まれる果糖をウサギは消化することができますが(その結果太りもします)、お菓 子に含まれる砂糖はウサギにとって害になることもあります。小腸で消化されなかっ た砂糖やでんぷんは、盲腸へ送られます。盲腸へ送られた量が多ければ、これらの炭 水化物は細胞外毒素を産出する細菌を多量に増殖させ、この結果ウサギに傷害を与え ます。 おとなのウサギは小腸で蛋白質を最大90%まで消化することが出来ますが、これは蛋 白質が何に由来するかに寄ります。大豆蛋白はたいへん消化が良好ですが、アルファ ルファに高比率で含まれる蛋白質(この多くは細胞壁に結合しています)はウサギは 消化できません。ウサギはセルロースを十分には消化できません(Fraga 1990)。自然 界で草食であるウサギにとって、このことは矛盾して見えるかも知れません。しか し、これは消化の過程のひとつなのです。 繊維素の消化率が悪く、短時間に消化し ずらい部分を排泄してしまうことが、ウサギに他の方法では出来ないような、高率な 栄養価の吸収を可能にしています(Sakaguchi 1992)。 ペレットの大きさと通過時間 消化できない繊維素は、木の樹皮でも、餌に含まれるものでも、消化は出来ません。 しかし、繊維素の大きさや種類によって消化管を通過する時間は異なります。 あなたの考えとは異なり、大きな食物塊も腸内で詰まることはなく、小さな食物塊が 簡単に排泄されるのと同様に排泄されます。 いくつかの研究において、餌の中に標識した物質を加え、食物塊の腸管内の通過時間 の計測が行われました。ある研究では、大きく固められた(最大3mm)繊維分の多い アルファルファは、14.1時間で消化器官を通過しました。同じ繊維分の多い餌をより 小さく丸めると(1mm)、消化器官を通過するのに15.9時間を要しました。 標識した低繊維、高でんぷん質の餌の通過時間は20.1時間でした(Gidenne 1992)。な ぜ低繊維、高でんぷん質の餌の通過時間は遅いのでしょうか? 小さな食物塊や過量の でんぷん質は盲腸へ運ばれて発酵が行われ、このために余分な時間を要します。水分 と小さな食物塊が結腸で分離されて盲腸へ逆送されます(Cheeke 1987)。しかし、大 きな食物塊は結腸をすぐに通過します。 ある研究では標識した餌を最大5mmの大きさにして与えたところ、通過時間は5時間で した(Sakaguchi 1992)。この大きさはほぼ噛み砕かれた干し草の大きさです。後肢が きかず、排泄の管理もできないウサギに正確に時間を決めて餌を与えて面倒を見てき た経験から、私はウサギに朝与えたオーツ麦の干し草が昼には(4ー5時間後)排泄さ れることを確信しています。 消化の速い物と遅い物 では、消化時間の早い物と遅い物ではどちらがよいのでしょうか。どちらもある程度 は必要です。大量の消化しない粗飼料は腸管の最適な働きには重要で、また十分な量 の(しかし多すぎない)可消化物も小腸や盲腸で吸収されるために必要です。 腸管の最適な活動をどのようにして知ることが出来るでしょう? 腸管の音を聞いて下 さい。腸管内で液体がガスと混ざり合って発する正常な「蠕動音」が聞こえるでしょ う。音が大きすぎる時は腸が刺激を受けていることを示しているのかもしれません。 音が何も聞こえなければ、腸蠕動の停滞が考えられます。 バランスの良い餌とは? ウサギにとってバランスの良い餌とは、栄養的に、また消化時間の面でのバランスの 良さです。蛋白質、でんぷん、炭水化物、ビタミン、また消化管をゆっくり移動して 消化されるミネラルなどを含みます。またこの餌には消化されずに短時間で排泄され る有機物も含まれます。次に、ウサギにとって適切な消化可能な物、不可能な物の 個々の量に関して研究が求められています。 参考文献 Buddington, R. and J. Diamond. 1990. Ontogenetic development of monosaccharide and amino acid transporters in rabbit intestine. American Journal of Physiology 259:G544-55. Cheeke, P.R. 1987. Digestive Physiology. Chapter 3 in Rabbit Feeding and Nutrition. Orlando: Academic Press Fraga, M. 1990. Effect of type of fibre on the rate of passage and on the contribution of soft feces to nutrient intake of finishing rabbits. Journal of Animal Science 69:1566-74. Gidenne, T. 1992. Effect of fibre level, particle size and adaptation period on digestibility and rate of passage as measured at the ileum and in the faeces in the adult rabbit. British Journal of Nutrition. 67:133-146. Sakaguchi, E. 1990. Digesta retention and fibre digestion in brushtail possums, ringtail pos sums and rabbits. Comparative Biochemistry and Physiology 96A:351-54. _________. 1992. Fibre digestion and digesta retention from different physical forms of the feed in the rabbit. Comparative Biochemistry and Physiology 102A, no. 3: 559-63. 消化のメカニズム Edited by Carolynn Harvey,DVM and Karl Waidhoffer,DVM : DVMLetters 1. 飲み込まれた植物性の食餌は咽頭から喉頭を通り、胃へ達します。 2. 筋肉の収縮が食物を圧搾し円を描くようにかき回します。食物を細かく砕き、そ れを胃液と混ぜ合わせます。 胃は二つの部分に分けられ、底部は分泌腺の無い層で区切られています。幽門部の粘 膜の腺細胞からは塩化水素、消化酵素、粘液が分泌されます。胃は小腸に栄養を徐々 に送るための貯蔵器官の役割を果たしています(Cheeke 1987) 。 3. 餌が胃を通過すると、膵臓の中で作られた酵素と肝臓で作られた胆汁とが十二指 腸で小腸内に分泌されます。 4. 消化の多くは小腸を通過する間に行われます。果糖、大多数のでんぷん質、蛋白 質の90%までが吸収されますが、繊維素は十分には消化されません。 小腸の粘膜には絨毛と呼ばれる多数の突起があり、これが有るために消化のための腸 の表面積が極めて大きく取れます。小腸は3つの異なる機能を持つ部分に分かれま す。 十二指腸は胃酸を中和し、消化された食物を撹拌するために働く主な部位です。炭水 化物や蛋白質、脂肪の消化に必要な膵臓の酵素と、ビタミンと脂肪の吸収に必要な肝 臓からの胆汁の分泌を受けます。回腸は残余器官で、粘膜下織にあるリンパ節を特徴 とします(McLaughlin 1990)。 5. 繊維素は大小様々に分けられ、大きな塊は排泄され、小さな塊は盲腸へ送られて 発酵されます。 栄養分はかなり均一な状態で回腸最後部にある回盲結腸接合部分より送出されます。 細かく砕かれた食物は腸絨毛により選択的に盲腸へと送られます。輪状の筋繊維が腸 内容物を盲腸へ逆流させるように送ります(Cheeke 1987)。しかし、大きな塊になっ た腸内容物は大腸を通過して丸まり、糞として排泄されます(Percy 1993)。 6. 細菌はセルロース(小さな食物塊)や大部分の糖分、過量のでんぷん質、小腸で 消化されなかった蛋白質を消化します。血中に直接吸収される揮発性の脂肪酸の生成 に伴って、ビタミンB群が生成されます(Evans 1991)。 盲腸は結腸から続く盲嚢で、胃の2-3倍の容積を持ちます。継続的に運動を続け、長 軸に沿って前後に収縮することで内容物を撹拌します。盲腸とそれに続く結腸の間で 断続的に腸内容物の移動が起こります(Cheeke 1987)。盲腸には共生関係にある微生 物があり、これが植物細胞の細胞壁を分解するセルラーゼを分泌しています (McLaughlin 1990)。 盲腸内での発酵時に生ずる揮発性脂肪酸を緩和するために、盲腸からはアルカリ性液 が分泌されます。(Cheeke 1987) 7. 未消化の繊維素や排泄物(固い糞塊)と、盲腸内容が発酵されて出来たビタミン に富んだ盲腸糞は、ともに大腸を通過します。盲腸糞は固い糞と比べると繊維素は少 なく、蛋白質、水分に富みます。(Cheeke 1987) 近位の結腸は胃の方向へ、前方に巻いています。部分的な収縮により消化物を分けて 糞にします。遠位の結腸は胃の近くにあり、後方に弧を描いて短く真っ直ぐな直腸に つながります(McLaughlin 1990)。 8. 盲腸糞は再び肛門から直接摂取され、消化管へ入ります(盲腸栄養)。 9. 盲腸糞は粘液の膜に覆われているため、胃を通過して小腸へ到達し栄養素が吸収 されるまでの数時間は発酵を続けます。(Cheeke 1987) 参考資料 Cheeke, P. R. 1987. Digestive Physiology. Pp 20-32 in Rabbit Feeding and Nutrition. Orlando, FL: Academic Press Evans, R., consultant. 1991. House Rabbit Handbook. Alameda, CA: Drollery Press. Harvey, C. 1993. Necropsy photos from Bay Area Pet Hospital archive. Oakland, CA: Unpublished. McLaughlin, C. A. and R. B. Chiasson. 1990. Pp 59-64 in Laboratory Anatomy of the Rabbit. 3d ed. Dubuque, IA: William C. Brown Percy, D.H. and S.W. Barthold. 1993. Pp. 179-80 in Pathology of Laboratory Rodents and Rabbits. Ames, IA: Iowa State University Press. ---------------------------------------------------------------------------- House Rabbit Society は非営利の保護教育活動を行う団体です。主旨に賛同し、こ こにある情報を有益なものと感じられた方は是非寄付にご協力下さい。 30-Jan-97 Paige K. Parsonsにより改訂 ----------------------------------------------------------------------------