救急処置 By Bronwyn Dawson, D.V.M. 1: 午後7時半、仕事から帰ってくるとあなたのウサギがリビングルームの床に意識を 失って横たわっていました。彼女の脇にはぼろぼろになった電気コードがありまし た。 2: 日曜の朝、庭仕事を一生懸命にやって家に入ると、愛すべきウサギがあなたが新 たに購入した数多くのラッパズイセンの球根の最後の一つをかじっているところでし た。 3: 大晦日のパーティーのために台所の準備をして、ウサギのトイレ掃除を始めまし た。トイレには糞が全くありませんでした。2日前に掃除したときにも多くはなかっ たことを思い出しました。 ウサギの飼い主が動物病院の診察時間外に具合が悪くなった自分のペットの処置をす る必要が生じた典型的な3つのパターンです。最初の例にあるようなウサギについて すぐに処置をしようと思わない飼い主はいないでしょう。二番目の例についてはどう ですか?三番目は?具合の悪いウサギを午前1時に、あるいは日曜の午後にどこで受 け入れてくれるでしょうか?これらの解答を緊急の事態が起こる前に用意しておくこ とは、感情的に混乱することを少なくするだけでなく、ウサギの生命をも救うことに なります。単純に聞こえるかも知れませんが、緊急の事態に備える最善の方法は事が 起こる前に備えることです。 この準備はかかりつけの獣医師と共に始めて下さい。獣医師の手術日と時間を確認し て下さい。獣医師の中には平日に延長して診察している人もいます。あなたの獣医師 は救急動物病院を照会してくれるでしょうか。もしあなたのかかりつけの獣医師が新 しい種類のペットの診察を多く手がけているなら、おそらくそれらの動物を診察して くれる近くの救急動物病院を知っているでしょう。 緊急に時間外に他の地域の動物病院へ行かなければならない場合もあるので、病院の 名前と住所、電話番号、方向などを住所録に記入するだけでなく、家の中にもはって おきます。事前に少なくとも一度は車でその病院まで行って、どのくらいの時間がか かるかおよそ把握しておきます。まだ眠い目で電話帳で病院を探し回り、あなたが動 揺している状態で電話の説明から場所を書き取ることは緊張させるもので、緊急にあ るウサギにとっては時間の浪費になります。 多くのウサギの飼い主が、ウサギの疾患について専門知識を持っている救急動物病院 を探そうとしています。それが理想的なことではあります。しかし、多くの救急動物 病院の獣医師は動物が何であっても、同じ治療を施します。飼いウサギの出血を伴う ような外傷であれば、ドーベルマンと同様治療が行われるかも知れません。より知識 のある救急動物病院の獣医師は、動物の種類に応じた疾患について知識を持っていま す。危篤状態にあるウサギを救急動物病院に連れて行くことを躊躇しないで下さい。 個々の獣医師はウサギの専門家ではありません。AVMAにはまだウサギの内科・外科学 会と言うものはありません。 舞い主でもウサギの状態を判断できる簡単な方法がいくつかあります。緊急の時にこ れに時間をかけているべきではありませんが、救急処置室に入ったときにそこの獣医 師にウサギの状態を説明するのにも役立つでしょう。 まず、そっと胸や股間に指をあてて脈を調べます。もし感じられなくても最悪の事態 と思いこむことはありません。ショック状態のウサギでは脈は弱く遅くなるので感知 しにくくなります。次にウサギの唇をめくって歯肉の色を見ます。健康であればピン ク色をしているはずです。青っぽかったり、蒼白な歯肉は重度の血液循環の問題を示 唆します。最後に体温を調べます。どのような動物でもペットの飼い主は体温計を常 備しておくべきです。少量の潤滑剤を体温計につけ、肛門からそっと差し込みます。 そのまま約1分間保持します。正常なウサギの体温は約103Fです。 救急の備品は最低用意しておきます。温度計を用意します。保温マットや温水を入れ た瓶でショックや低体温にあるウサギに対処します。アルコール、綿花、ガーゼ、包 帯なども必要です。ウサギを直接保温マットに置いてはいけません。やけどをするこ とにもなります。まずウサギをタオルでくるみ、マットや瓶をタオルでくるみます。 もしウサギの体温が106F以上あったら、急いで病院へ行く前に、アルコールに短時間 浸して冷えたタオルでからだをくるんでおくと役に立つこともあります。 出血のある外傷は、綿花とガーゼで圧迫して覆っておくべきです。止血帯を用いると 逆に治癒し得ない傷害を招くこともあります。 救急動物病院へ着いたら当直のテクニシャンに受け付けをしてもらって下さい。ウサ ギの状態が極めて悪く感じられたらこの時にはっきりと告げて下さい。すべての救急 病院で、重症の患畜が来院したときには一定の分類法を採用しています。もし疑わし い点があればテクニシャンに調べてもらって下さい。病院へ着いたときにあなたのウ サギが昏睡状態だったらスタッフにすぐにそれを告げ、すぐに奥へ連れていって処置 してもらって下さい。あなたはウサギと一緒に中へ入れないこととそのわけを了解し て下さい。一度に3ー4頭もの患畜が同時に処置を受けているかも知れないのです。獣 医師とテクニシャンたちは患畜に集中しているので、よけいな人間がいることは決し て手助けにはならないのです。もしあなたのウサギに意識があって、立っていられる ほどの状態であれば、先に来ていた動物や、後から来たものでも緊急のものであれば それを先に診察した後に、出来る限り早急に診察してくれるでしょう。 すべての救急動物病院には緊急の患畜を治療するために、酸素吸入器、レントゲン、 外科手術機器、様々な薬などが準備されています。あなたのウサギを診察した後に、 特に酸素吸入や輸液が必要とされるように、ウサギの状態が安定していなければ、獣 医師はウサギを入院させるよう告げるかもしれません。それがあなたのウサギのため には最も良い方法です。いつ迎えに来たらよいかを確かめておいてください。またウ サギの看護をする上で何か気をつけることが無いか聞いておいてください。 救急動物病院から戻った後も、必ずかかりつけの獣医師に再度診察をしてもらうよう にして下さい。重症な場合で24時間の看護が必要なときには、救急動物病院からかか りつけの動物病院へ直接転院しなければならないかも知れません。重症でない場合に は救急動物病院からどのような治療が必要かの指示と共に退院できるでしょう。この 指示書の写しをかかりつけの獣医師のところに持って行って下さい。かかりつけの獣 医師は、期待されたような緊急の状態からの回復を確実にさせるため、またウサギの 病状の最新の状態を知るために診察をする必要があります。 日常的な検査や"bunny proofed home"(耐ウサギハウス)が救急疾患の大部分を防止 します。しかし、予期しない事態はどのウサギ、ウサギの飼い主にも起こり得ます。 どのようなことが予期されるか、用心をし、心がけ、適切な助言を得ておくことで救 急の際に病院へ行くときに不安感は減るでしょう。 重大な緊急事態としてどのようなものがあげられるか、以下の分類を参考にして下さ い。 I. 生命に関わる緊急事態: 1. 1) 昏睡、昏迷:横臥状態で声をかけたり手で触れてもほとんど、あるいは全く 反応のない状態。電気コードをかじったたり、犬に脅されたショックで心停止 を起こしていることも考えられます。 2. 2) 癲癇発作、突発的な神経症状:横転、斜頚、眼球震盪(眼がすばやく左右に 繰り返し動く状態)など。考えられる原因は全身性のパスツレラ感染症、低血 糖などです。 3. 3) 重度の出血の持続:どのようなタイプの外傷からも起こり得ます。犬による 咬傷、高所からの落下、自動車事故など。 4. 4) 体温低下、体温上昇:体温低下では、ウサギは氷のように冷たく通常横たわ っていて、反応がありません。体温上昇は体温が大変熱く、呼吸が荒く、時に は癲癇様発作が見られます。 以上のような状態の時はウサギを抱えあげ、車の鍵を持ち、すぐに救急動物病 院へ行って下さい。前もって準備をしておくことがウサギの生命を救うことが 出来るのは、こう行った事態です。時間はわずかしかありません。 II. 重度の救急疾患: 1. 1) 動物による外傷:あなたのウサギ自体が元気でも小さな傷があった場合は動 物病院へ行ってください。刺傷は重症の場合でも毛に隠れて見えないことがあ ります。また、動物におそわれたことがウサギの血圧を変化させたり、他のか らだの恒常性にも影響を与えます。この状態を「ショック」と言います。 2. 2) 蛆:屋外で飼育しているウサギにはよく見られるものかも知れませんが、屋 内で飼育されているウサギには抵抗力がありません。蛆は蝿の幼虫です。蝿は 開放創や擦り傷、糞や尿で汚れている部分に卵を生みます。ウサギの体に潜り 込んで傷害を与えるだけでなく、蛆は重度の感染やショックを引き起こす毒素 を放出します。 3. 3) 中毒:様々な化学物質や植物がウサギに中毒を引き起こします。多くの中毒 物質が長期的に傷害を与えます(ラッパズイセンなど)。そのため、明らかに 正常に見えても間違って安心してしまわないように気をつけて下さい。中毒に なったら、原因と疑われるものも一緒に救急動物病院へ持っていって下さい。 4. 4) 軽度の感電、溺れ:これらの事故はともに肺水腫(肺の中へ水分が貯留する 状態)を生ずるため同時に取り上げます。肺水腫は呼吸困難、時には歯肉の蒼 白などで明らかとなります。電気コードを良くかじっているウサギはしばしば ひどい火傷を負います。プールで溺れて助けられ、震えてはいても大丈夫そう に見えるウサギもやはり動物病院で診察を受けさせます。肺水腫の影響は必ず しもすぐに現れるとは限りません。 III. 考えられる救急疾患: 1. 1)呼吸器障害、鼻汁、眼脂:あなたのウサギの症状の程度を判断する必要があ ります。軽度にはなをふんふん言わせたり、くしゃみ、透明な涙が元気なウサ ギに見られるのであれば、動物病院が開くまで待っても大丈夫でしょう。しか し、明らかにお腹を動かしながら呼吸し、息する音が聞こえるほどであれば、 急性の肺炎も考えられます。 2. 2) 下痢・便秘:これらはどちらもウサギにとっては大変危険な場合もありま す。今日になって初めてわずかな量の軟便を見ただけであれば緊急な状態と考 えることはありません。しかし、相当に水様の強い下痢便は一晩でも脱水に至 ります。逆に、わずかな量の硬い糞は腸管の通過障害やその他の消化器疾患を 示唆します。トイレに糞が見られなくなって2日が経過し、かかりつけの獣医師 が週末の休みに入っていれば、ウサギを救急動物病院へ連れていって下さい。 ---------------------------------------------------------------------------- House Rabbit Society は非営利の保護教育活動を行う団体です。主旨に賛同し、ここ にある情報を有益なものと感じられた方は是非寄付にご協力下さい。 11/11/96 Paige K. Parsonsにより改訂