ボンディング(ウサギのペアを作ること)で最も大切な言葉:PATIENCE (忍耐)!

編集者注:著者のメリー、コッターさんは全米HRSの副会長でHRSのNY支部、Rabbit Rescue& Rehabの創設者でもあります。彼女は1988年に6年間一匹で飼っていたウサギと、救助したウサギのボンディング(ウサギをペアにすること)に初めて成功してからずっと、ボランティアやウサギの飼育員に無理やりではなく、ストレスのない方法でウサギをペアにする方法を教えています。ウサギの飼い主たちにも、このプロセスについてのよりよい理解を深めるためのアドバイスを行っています。

P: パートナー選びは慎重に

A: 何も期待はしないこと

T: セッションは時間厳守

I: 互いの接触と実際の関係が近づいたかどうかは別物

E: 縁結びにはこまめな観察と冷静な判断による評価が必要です

N: 望ましいお見合い場所は中立地帯 !

C: 注意することで危険を回避 !

E: すばやい円満終了は良縁の鍵

P: パートナー選び (Pick partner) は慎重に。パートナーとなる可能性のあるウサギは注意深く選びましょう。ウサギがお互いに初めて会ったときの反応は千差万別です。純粋にお互いを気に入ってパートナーになろうとするウサギもいますが、多くはけんか腰で、相手が脅威ではないとはっきりわかるまでは喧嘩を仕掛けます。お互いを倒そうとするウサギもいます。多くの人がする勘違いなのですが、すぐに慣れてくれる仔ウサギ同士をパートナーとします。若いうちから一緒の場合、大人になると雄と雌は自然に子孫を作ろうとするのでペアとしてうまくいきますが、性成熟してから去勢、避妊を行うと事情は変わってきます。順調なペア作りとは、そのプロセスでお互いが得るものがある場合を言います。(大きさや種類、色などに寄る)飼育者の選択はウサギ自身の選択とは大いに異なるかも知れません。ウサギ同士を無理やりペアにしようとする事で悲しい結末に終わることもあります。

90年代の始め、私が初めてウサギのインターネット上のグループに参加したとき、いかに人間が無理やりウサギをペアにしようとしているかを目の当たりにしてショックを受けました。特に覚えているのは、ウサギがお互いに好きであろうがなかろうが、どんなウサギもペアにできると主張していた人です。当時は私は感心しましたが、後にそういうペアは結局壊れてしまうことを学びました。あなたのウサギと一番仲がよさそうなウサギを選びましょう。あなたにとっても後々簡単ですし、強固でずっと続く関係を作りやすくなります。

A: 期待は捨てる (Abandon) こと。何も期待してはいけません。飼い主の・こうあるべきだ・という期待は大抵の場合、実際にどうなるかとは違っています。そして無理やりウサギを飼い主の期待に沿わせようとすると結局は、がっかりすることになります。

数年前に、ある飼い主がこうこぼしていました。・もう何ヶ月も平和に一緒に暮らしているのにカップルの様にならない・。彼女はペアには二種類あって、いつも毛づくろいをしあう夫婦のようなペアもあれば、仲の良い友人同士のようなペアもある、ということに気づいていなか

ったのです。ペアとしてはどちらでも問題ないので、ウサギに、そのウサギたちにとって最適な距離感を決めさせ、無理やりもっと仲良くさせようと強制したりせずにあるがままを受け入れましょう。

以上を踏まえたうえで、もう少し説明します。ウサギが隣り合うケージまたはサークルで暮らしている場合、始めの、見知らぬウサギがこんな近くにいるという認識や緊張は次第に無関心へ、そしてその見知らぬウサギの存在の受容へと変わっていきます。私はこの情報を当時のボランティアに広め、この方法を平和なペア作りの第一歩として使い始めました。別のウサギの隣で平和に暮らし、見たり、聞いたり、匂いをかいだりする機会を経たうさぎは、ケージの外でそれぞれを紹介するのもずっと楽になります。

ケージの中で・平和に暮らす・ということについてですが、サークルやケージは十分なスペースを開けて(通常は7–8センチほど)隣通しに置き、ウサギたちがお互いに鼻をくっつけたり(または噛んだり!)しないようにします。必要であればケージの間に何か物を置いて(水の入ったボトルか何か)ケージを押して近づけないようにします。もし片方のウサギが外に出る場合は、ケージ内のウサギから十分に離れた場所で遊ばせます。この二つの点は平和を保つのに大切なことです。

たまにあることですが、ウサギたちは人間の特別な努力なしに自然にペアになります。ある時、全く関係のない二匹の雌ウサギがフォスターケアの家の寝室で飼われていました。フォスター(里親)は、二匹は一度も紹介されたことはないけれど、お互いを気に入っているようだと感じ始めました。彼女の勘は当たっていて、二匹をペアとしてお互いに紹介してみると、すぐにペアに収まりました。一目ぼれ(メス同士なので友達として。英語では友達でもLove を使います)?それとも、同じ部屋でずっと隣同士で暮らしていたから?本当のことはわかりませんが、誰もこんなうまくいくとは期待していませんでした!

T: お見合いの時間 (Time) はきっちり守りましょう。早く目標を達成したいがために、多くの飼育者は知らないうちにやりすぎたり急ぎすぎたりして返って過程を遅らせてしまいます。・ウサギたちがとてもうまくいっている!・という理由でセッションの時間を延ばしたいという欲求に打ち勝ってください。最もいいお見合いセッションは短く、常にいい場面で終わります。最初は一分から、ウサギたちが何をしていようと、一分たったら引き離してください。大変短く、とても平和なセッションを一日に何回かする方が長いセッションでウサギがお互いに敵対してしまって引き離さなければならなくなるよりも、ずっと早く進み、強固な絆が生まれます。何回かの、平和な一分セッションの後、時間を90 秒、一分半にそれから2 分に延長します。セッションを続けるにつれ、どのくらいウサギたちが平和に一緒にいられるか、だんだんわかってきます。この平和に過ごせる時間を越さない限り、関係が悪化することはないでしょう。

飼い主のせっかちでウサギ同士の喧嘩が一回でも起きてしまうと、すべての工程が何日も、何週間も、場合によっては何ヶ月も逆戻りしてしまうということを頭に入れておけば、辛抱強くいるほうがずっと簡単です。

I: 接触 (Interactionという単語で、相互関係と訳せますが、単にそばによってにおいをかいだりすることを意味しますは実際の距離が縮まったということと同じではありません。接触とは、他のウサギが同じスペースにいるときにウサギがすることすべてをいいます。物理的に近いことが信頼関係を築くのに唯一、また、最も大切な条件ではありません。言い換えれば、ウサギは物理的に距離が近いかどうかに関係なくお互いの信頼関係を築けるものです。一方が常にもう一匹から物理的な距離をとりながら関係を築こうとしている場合、その明確な意思を尊重しましょう。

ニューヨークの地下鉄を想像してみてください。女性が夜に一人で地下鉄に乗ったら、他の乗客は一人で座っている男性だったとします。ほとんどの場合、女性は男性から一番離れた席に座るでしょう。彼女の距離を置く、という選択は関係を作れないからではなく、むしろ明白に(距離を置くという)関係を示すものです。

自然界では、ウサギ同士で関係を築くのに無限のスペースを使えますが、私たちが家でウサギを紹介する場合、スペースは大抵限られています。よって、スペースを使ってのコミュニケーション(距離を広げること)は難しくなります。

にもかかわらず、ウサギをペアにするとき、多くの飼い主はウサギたちが距離を取ることにした場合、十分に関係を築けていないのではと心配し、繰り返しウサギを物理的に近づけようとして結果的にペア作りに失敗します。

E: それぞれのセッションの間に頻繁に関係性を評価 (Evaluate) しましょう。ウサギがはじめに明白に仲良くしていたからといって自己満足してはいけません。事態は急に変わることがあり、仲良く始まったセッションが苛立ちや追いかけっこで気まずくなることもあります。もしウサギの行動に詳しくない場合は、誰か詳しい人に頼んで観察したことを評価してもらいましょう。

N: 中立的な領域 (Neutral) は大切です !ウサギたちを・中立領域・で紹介しあうのは仲良くさせるのに大きな意味があります。もしどちらかのウサギがその領域を支配している場合、ほとんどの場合、領域を支配するウサギが別のウサギをどんな手を使ってでも自分のエリアから追い出そうとするので、ペア作りの過程は非常に難しくなります。もしあなたのウサギ放し飼いで、家全体を領域としている場合は、始めの紹介は地下や友人の家ですることを検討しましょう。アパートに住んでいる場合、近所の人が親切ならば、少しの間なら大抵、廊下を使わせてもらうことが可能です。要は、最善を尽くして、どちらのウサギにも所属していないスペースを見つけることがウサギにとってもあなたにとっても、お見合いの過程を非常に楽なものにできるということです。

C: 危険を冒すよりは注意 (Caution) !責任者である人間が無意味なリスクを犯したがために、深刻な、そして完全に回避できたであろう怪我がセッション中に起こることがあります。できれば、ペア作りを友人や経験のある人に手伝ってもらい、攻撃的または危険な行動(つついたり耳が下がっていたりぐるぐる追いかけたり他のウサギに直接飛び掛ったり後ろ向きにマウントしたりすること)を回避するために、迅速に、上手に仲裁してもらいましょう。底のやわらかい

靴や、オーブン用のミトンを手にはめると、安全に仲裁することができ、あなたも、ウサギたちも、怪我を回避できます。ウサギ同士の急な喧嘩や予想外の攻撃が起きた場合、防護された自分の手を攻撃がその手に向かうようにして仲裁します。必要であれば、友人や助手が他のウサギを連れて行く間、もう一方のウサギを防護した手で、しっかりと、でも快適にまたがって押さえつけるか、ウサギが接触できないようにしましょう。

もしあなたがウサギについてよく知らなかったり、特定の行動が何を意味するのかわからなかったり、一方が動揺していたり、もう一方に対して攻撃的な行動を見せていると思ったら注意してウサギを引き離しましょう。もしセッションが長すぎのかも知れないと思う場合は注意してセッションを終わらせましょう。注意深くなると、お見合いの過程が長くなることになるかも知れませんが、あなたにもウサギたちにとっても安全でより楽しいものになります。

E: お見合いはすばやく、いい場面で終わらせましょう (End) 。初めのうち・ウサギたちが仲良くやっている・からといって、セッションを延長しないように注意しましょう。ペアセッションはほとんどの場合、短く頻繁なほうが簡単でうまくいきます。セッションを短時間で終わらせないとストレスが高くなったり攻撃性が出てきたりします。

出典:Rabbit Rescue & Rehab/NYC HRS: NYC METRO RABBIT NEWS THUMP April 2014 www.rabbitcare.org, 編集者:スーザン、リロ、製作監督: ジェーン、オワイエット、 ロゴデザイン:メリー、アン、マイヤー

Translated by Yumi Nakayama

  • Mary Cotter

    Mary E. Cotter, M.A., Ed.D., LVT is the founder of the NY-based Rabbit Rescue & Rehab. Involved with rabbit rescue since 1982, she speaks and writes frequently on rabbit-related topics, addressing owners, veterinary professionals and shelter workers.

    View all posts
Scroll to Top